第3章 厳しい稽古
『やぁぁぁー!』
早朝からキンキン、カンカンという木刀が交わる音が聞こえる。
「はっはっ!そうだ!いいぞ!その調子だっ!」
愛は肩で息をし、汗をたくさんかいている。
反して杏寿郎は息一つ乱れていない。
「兄上ー!お茶をお持ちいたしました!」
「うむ!休憩だ!」
千寿郎が神様に見える…。
ありがとう、ありがとう。
『だぁ〜…はぁ、はぁ』
もう無理だというようにその場にへたりこむ。
「む、愛は太刀筋は良いが、体力に今ひとつ欠けるな。俺がいないときは体力作り中心に鍛錬するように!」
千寿郎の淹れてくれたお茶を飲みながらそうアドバイスをする杏寿郎。
『はぁ、はぁ…はい。』
体力はある方だとは思ってたけど、全然ダメね。
手合わせの前半はドキドキしてたけど、後半はもう、憧れの杏寿郎様と♡何て考えてる暇なかったわ。
『…いただきます。』
何とかお茶のところまで辿り着いた愛はゆっくりと飲みだす。
目に涙を少し浮かべて、おいしさを堪能しているようだ。
『杏寿郎様、継子はわたし一人なのですか?』
愛は何とか息を整え、そう言った。
「今はそうだ!少し前までは甘露寺というものがいたが、今は自分なりの呼吸を見つけて、励んでいる!いつかは柱になる逸材だ!」
杏寿郎はどこを見ているかわからないよう目で溌剌と答えた。
『そうなのですね。ぜひ、お会いしてみたいです。』
生の蜜璃ちゃん、会ってみたい。
もう蜜璃ちゃんは継子ではないのか。
と、いうことは時系列的に今はいつだろう。
正確に知っておく必要がある。
無限列車までの時間を。
「うむ!いつか紹介しよう!女同士だ。すぐに仲良くなれるだろう。」
『あの、話は変わるのですが…杏寿郎は、おいくつですか?』