第10章 成長
胡:「…陰性でした。」
:「…はぁ…良かった…」
胡:「恐らくあの隊士はあれが初めての任務だった上に、おぼっちゃま育ちだったようなので、凄惨な現場を見て精神崩壊してしまったのでしょう。」
が個室を出ると、怜、千寿郎、杏寿郎、不死川の4人が待っていた。
杏:「!何もなくて本当に良かった!」
千:「さんがいない家はすごく寂しかったです…。兄上も珍しく元気がなかったんですよ?」
不:「だから安心しろって言ったろォ?」
:「本当に良かったです。あらそうなの?私も寂しかったですよ、千寿郎くん、杏寿郎さん。本当でしたね、あの時はありがとうございました、不死川さん。」
怜は黙ってずっと下を向いていた。
:「怜は、何もなかったこと、喜んではくれないの?」
怜:「先生…私…私…ごめんなさい…!先生がっ…ひっく…死んじゃうんじゃないかって…ひっ…ものすごく怖くて…ひっ…ごめんっなさいっ…ごめんなさいっ…先生…」
:「怜、怜はなぜ子供がよく怪我をするか知ってる?」
は怜に目線を合わせて言った。
怜:「…ひっく…わかりません…」
:「これは私の師範が言ってたことなんだけどね。子供はよく転んで怪我をする。だけど、その分治りも早い。それは何度も怪我をすることで痛みを知るため。そして人の痛みも分かるようになる。だから治る怪我ならたくさんした方がいい。」
怜は泣きながらの話をじっと聞いていた。
:「怜はまだ医者の道を歩み始めて2年ちょっと。まだ2歳ちょっとの子供よ。そしてこの指の傷は、治る怪我。だから気にしなくていいの。」
怜はさらに泣いてに抱きついた。
怜:「良かっ…たっ…先っ…生がっ…死ななくてっ…良かっ…たっ…!」
は優しく抱きつく怜の背中を撫でた。