第10章 成長
その日、蝶屋敷にいる間中は不安そうな顔をしていた。
見るに見かねたしのぶが声をかけた。
胡:「さん、そんな不安そうな顔をされていては、こっちの気まで滅入ってしまいますよ。どうしたんですか?」
:「しのぶさん…。…さっき、血鬼術にかかったかもしれない鬼殺隊士が運ばれてきましたよね?」
胡:「はい。それがなにか?」
:「その隊士が採血した際暴れてしまって、血がついた注射器が私の指をかすったんです。もしかしたら…」
胡:「!?何故それを早く言わないんですか!」
:「すみません、気が動転してしまって…。」
胡:「…さんの血も調べさせてもらいますね。申し訳ありませんが結果が出るまでは…」
:「…隔離…ですね?」
胡:「はい…本当にすみません。」
こうして、は検査結果が出るまで蝶屋敷の個室で隔離されることとなった。
となると黙っていないのは…
杏:「なぜだ!が隔離されなければいけない理由はなんだ!」
胡:「血鬼術にかかっているかもしれないからです。」
杏:「今まで血鬼術にかかった者の中に隔離などされた者はいなかったはずだ!」
胡:「先に血鬼術にかかった可能性のある男性の症状を見る限り、まるで何かの感染病のような症状でした。万が一、他にはなかった、感染してしまうような血鬼術であれば、取り返しがつきません。だからその時のことを考えて隔離させていただきました。」
杏:「…。万が一、血鬼術にかかっていた場合、はどうなるんだ?」
胡:「…分かりません…。」
杏寿郎は今までにないほど眉根を寄せて不安そうな顔をしていた。
だが、不安なのは杏寿郎とだけではなかった。