第10章 成長
そして2つ目の変化は男性への恐怖がほとんどなくなっていたことだ。
隊士A:「今日は怜ちゃんが担当か、こいつ隊士になったばっかりなんだけど、怪我しちまったから手当てしてやってくれ」
怜:「ではこちらに来てください。腕を出してください。」
隊士B:「初めまして。これからお世話になります。」
怜:「なるべくお世話にならないよう、気をつけてくださいね。」
隊士B:「はい…。」
隊士A:「ははっ!怜ちゃんも言うようになったなぁ。前まではさんがいないと初めて会う隊士となんて、話せなかったのに。」
怜:「うるさいですよ。」
お館様とは初対面でも話せたものの、初めて会う男性にはが罵られた時しか声を発せなかった怜にとって、初めて会う男性に、ましてやがいない状況で話せていることは大きな進歩だった。
3つ目の変化は今の様子で分かる通り、今までの補助をしていた怜が、治療を任されるようになっていた。とは言っても手術などは要しない簡単なものだが。
そしてそんなある日事件は起こった。
隠A:「血鬼術にかかってる可能性があります!何が起こるか分からないのでどうか気をつけてください!」
発狂しながら暴れる隊士が連れてこられた。
:「分かりました。私が抑えてるから、怜が採血してちょうだい。」
怜:「こんな暴れてるの、私に…」
:「やるのよ。」
怜:「…はい」
怜は暴れる隊士の血管にきちんと刺さるよう集中した。
怜:「…よし。」
採血はうまくいった。と思った次の瞬間
怜:「あっ!」
:「いたっ!」
隊士が一際大きく暴れ、怜の持つ採血した注射器の先がにかすってしまった。
怜:「!すみませんっ!先生!」
:「大丈夫、とりあえず個室へ」
そう隠に言って、隊士を運ばせた。