第9章 父親
父の遺骨を母と兄が眠る墓に入れた。
:「…どうか、安らかに眠ってください。」
任務がある者たちは来れなかったものの、一緒に住む5人、しのぶ、不死川、冨岡は墓まで一緒に来てくれた。
は手を合わせている時目を瞑りながらまた静かに涙を流した。
その時声をかけたのは
遊:「、婚約の件は破棄しよう。」
:「…え?」
遊:「前にが言っていた通り、婚約の話は親同士が決めたことだ。よって、お前の両親がどちらも亡くなってしまった今、その約束は無効だ。」
:「…、そう。」
遊:「俺はこのまま自分の家に帰るよ。荷物はまた後日取りに行く。じゃあな、」
遊はそう言って帰っていった。
そしてその姿を追う2人の姿があった。
杏:「おい、遊。傷心のに今言うようなことではないだろう。」
不:「あいつが傷ついてんの分かんだろうがァ。昔からの馴染みのくせによォ。」
遊:「…俺がどんな思いで言ったと思ってる…」
杏:「なに?」
不:「あァ?」
遊は振り返り2人の胸ぐらを掴んだ。
遊:「俺がどんな思いであの言葉を言ったと思ってる!!物心ついた頃からずっとあいつのことが好きだったんだぞ…!!でも俺ではあいつの心にほんの少しの温もりさえ与えてやれない…俺がどんなに与えても、は俺からの温もりは感じてくれないんだ…。を今支えてやれるのは杏寿郎だけなんだよ…。」
遊は掴んでいた手をゆっくりと離した。
杏:「よもや…遊…」
不:「好きだからこそってやつかよォ。」
遊:「あぁ、好きだからこそ辛そうな姿は見たくない。本当なら俺が救ってやりたい…でもできないならできるやつに任せるしかないだろ。…今回しか譲らないからな。杏寿郎。」
杏:「…分かった。任せてくれ。遊、いつでも家に遊びにきてくれ。これからも交友は続けたい。」
遊:「あぁ、泣かせんなよ。またな。」
杏寿郎と不死川はたちの元へと戻っていった。