第9章 父親
杏:「…もう泣くな…」
不:「の親父さんは、俺と似てるなァ」
冨:「…」
宇:「派手にいい父親じゃねぇか。」
甘:「ちゃんの優しさもお父さん譲りなのね」
伊:「家族というものをこれから大事にしろ」
時:「僕のお父さんて、どんな人だったっけ?」
悲:「なんと哀れな人生だ…」
胡:「さん…」
柱たちが口々に物を言う中、はただ泣いているばかりだったが、胡蝶の声がするとこちらへと向かってきて土下座をした。
:「…しのぶさん…しのぶさんが私のことを認めていないことも、嫌いだということも知ってます。ですが、どうか、どうか、父を助けてくださらないでしょうか…?私は手術は得意でも、薬のことは不得手です。父はもう手術ではどうにもならない。薬学を得意とするしのぶさんになら、父を助けられる薬を作れるんじゃないでしょうか?お願いします。父を…助けて…」
皆驚いていた。がこんなに泣くことも、人に助けを求めることも初めてだったからだ。それは遊でさえ、見たことがない姿だった。
胡:「…全力を尽くします。ですが、恐らく、助からない可能性の方が高い。覚悟はしておいてください。」
:「ありがとうございます。」
各々が家に帰った。杏寿郎たち5人はその日一言も喋ることなく、眠りについた。
翌朝から、は普段通りに戻り、父の顔を毎日見に行くようになっていた。