第9章 父親
遊:「俺も行くよ。怜と千寿郎は杏寿郎にが戻ったことを伝えるんだ。いいね?」
怜、千:「はい!」
2人は蝶屋敷へ、2人は産屋敷邸へと向かった。
蝶屋敷にて
ア:「さん!戻ってらしたんですね。お父様、前よりかなり悪化してます…」
:「そう、面倒みてくれてありがとう。少し会ってくるわね。」
父親は息が弱々しく、時々ひどく咳き込んでいた。今は眠っているのにも関わらず。
移動したのは1ヶ月半ほど前だが、がしっかりと父親の姿を目にして、症状まで認識したのはこの時が初めてだった。
は一筋の涙をこぼし、
:「……こんなに酷かったのね…私、全然あなたのこと、見てなかった…」
遊は黙って肩を抱いた
:「…ごめんなさい、知らなかったのよ…!あなたが、あんなに家族を、患者を、思ってくれていたなんて…!あんな遠くまで行って、1日だけ帰ってくるのは大変だったでしょう…。ごめん、ごめんなさい、ごめんね、"父さん"…。」
その言葉に父親が、ピクッと、反応を示した。
:「父さん!?私だよ、だよ。ごめんなさい、今までずっと、酷い態度して…」
父:「…泣いてるのか?俺はの言う通りひどい父親だ。にあぁされてしまうのも当然なんだ。」
:「違う、違うよ父さん。父さんは世界一優しい人だよ。兄さんの優しさは父さん譲りだったんだね。兄さんの目を治すために、出稼ぎに行ったのに、その兄さんは治らないまま死んで、その出稼ぎのせいで母さんの病気に気付けず、葬儀にも間に合わなかった、それなのに私に罵られ…どれほど辛かったことか…ほんとにごめんなさい。私の勝手な行動を、許して…。」
は父の手を握り泣いていた。その間遊は黙ってずっとの背中をさすっていた。
すると、の父親が口を開いた。