第9章 父親
遊:「その医者は…龍さん(の兄の名)の眼を治そうとした医者だ。」
:「!?…その人を訪ねてどうしろというのよ…」
遊:「親父さんのことを風の噂で聞いたその人が俺の病院を訪ねてきた。親父さんのことについて話していってくれたよ。」
:「なんて言ってたの?」
遊:「ここから先は言えない。自分で直接聞くといい。それだけだ。じゃあな。」
:「ちょ、遊!」
の声に動きを止めることなく遊は去っていった。
は杏寿郎としのぶに相談して、翌日の早朝に出て日の入りの前に帰ってくるなら1人で行ってもいいということだったので、翌日の早朝に家を出ることにした。
翌日、まだ誰も起きていない頃、日の出とともには家をでた。
そして9時ごろ仁矢崎へと着いた。
すれ違う人に成宮という医者を尋ねると、立派な門の前に辿り着いた。
その門を叩くと、中から優しそうな50代くらいの男性ががでてきた。
:「すみません、私、彩色と申し…」
成:「もしや、彩色濠(の父の名)の娘さんかな?」
:「はい。」
成:「大層器量のいい娘さんに育ったもんだ。さぁ中へ入りなさい。」
はお邪魔しますと中へ入った。
成宮がお茶を出してくれた。
:「ありがとうございます。あの、早速なんですが、彩色濠のことについて教えていただけますか?」
成:「遊くんに聞いたよ。君が父上のことを誤解していると。まず順を追って説明していこうね。私が兄上の目を治そうとしていたことは知っているかな?」