第9章 父親
街人A:「おい、あの派手な髪した奴ら見ろよ。」
街人B:「あいつら普通じゃねぇよな。そういや、あの中にいる女の医者、お前ら知ってるか?」
街人C:「あぁ、金も取らずに治療するって話じゃねぇか。なのに金に困ってる感じはねぇみてぇだけどな。」
街人A:「裏でどう稼いでんのかは知らねぇが、さぞいい気分なんだろうよ。無償で人助けして感謝される人生は。」
街人B:「きっと、助けられなかった奴の顔なんかは覚えてもねぇんだろうな。」
小声で話していたものの、4人の耳にはこの会話がしっかり届いていた。
杏:「、落ち着け、あんなのには勝手に言わせておけばいい。」
不:「そうだぞォ。気にすんなァ。」
遊:「我慢だ。」
:「分かってる。」
はずっと我慢していた。だが、
街人C:「いや、なんなら助けた奴らのこと、俺たち平民のことは、自分の評判を上げる道具としてしか思ってねぇんじゃねぇか?」
この言葉での堪忍袋の緒が切れた。
は箸をバン!と置いて立ち上がり、こそこそ話していた3人の元へ向かった。
杏:「っ…」
不:「おいっ…」
遊:「止めないでやってくれ、あれは俺も我慢ならん」
遊が2人を静止した。
:「私が、人を救っていい気になっていると?」
街人A:「そ、そうじゃねぇか。」
:「助けられなかった者の顔も覚えていないと?」
街人B:「あ、あぁ。」
:「今まで助けた者、これから助ける者を評判を上げるための道具だと思っていると?」
街人C:「ど、どうせ図星なんだろ?だからそんなに怒って…」