第7章 鬼舞辻無惨
男が去った後、はみんなに謝った。
:「…はぁ。すみません、驚かせてしまって。怒りに我を忘れてしまいました。少し外の空気を吸ってきます。」
といっても、遠くに行くわけではなく、ほんとに小屋の外に出るだけだった。
は壁を背にしてそこにずるっと座り込んだ。
:「はぁ…」
すると、隣に黙って腰を落としてくる者がいた。
は顔をあげて隣を見る。
杏:「鬼舞辻が現れると言う村だ。1人になりたかったのだろうが、危険だ、黙っているから、許せ。」
:「杏寿郎さん…。フフ、いいんですか?2人きりになるのをずっと避けていたのでは?」
悲しそうではあるものの、いつもの微笑みをは取り戻していた。
杏:「よもや…バレていたとは…」
:「なぜ避けていたんです?」
杏:「は遊という許嫁がいるだろう。それにお互い想いあっている。それを俺は割って入るほど野暮じゃないからな。」
:「確かに許嫁とは言ってましたけど…私と遊はそんな関係じゃないですよ?」
杏:「む?だが、遊の家に行ったとき、と遊が、"付き合って欲しい""俺でいいなら"と言う会話を確かに聞いたぞ!俺は耳がいいから、聞き間違えたということはあるまい!」
:「あぁ、そういうこと…。杏寿郎さん、ちゃんとその前後聞いてました?」
杏:「前後?」
:「遊があまりにも父親と話してこいとうるさいから、遊にも一緒に来てほしいと伝えたんです。その時の会話ですね。」
杏:「よもや…ずっと俺が勘違いしていたとは…だが、君は前に父親はいないと言っていた!」
:「本当は父親はいるんですけど、仲がとても悪くて…」
杏:「なぜそうなってしまったのか、聞いても良いだろうか。もちろん言いたくないのなら言わなくていい。今日はいろいろあったしな。」
はゆっくりと口を開いた。