第7章 鬼舞辻無惨
:「こんな状況の中で、なぜあなただけそのような軽傷で済んでいるの?他の村人たちを生贄にし、自分はどこかに隠れていたのではないの?」
男:「…っ!そ、そんなの言いがかりだ!お、俺は運良く助かっただけだ!」
:「この嘘つき!目を見れば全て分かるのよ!…あなた、荒金怜を知ってるわね?」
男:「…っ!?なぜ怜を…娘を知っている…!?」
杏:「娘だと!?なら彼は怜の父親か!?」
杏寿郎をはじめとした、柱全員が驚いた。
:「怜の名を軽々しく口にしないで!怜のことを娘などと呼ぶことも許さない!怜が生まれてすぐ母親は死に、それからお前はずっと怜を放って遊び歩いていた。そして最後には怜を捨てた。…怜には、親などいない。いるとするならば、それは私よ。」
男:「あんた…一体何者なんだ…医者じゃねぇのか…まぁ、いい、怜を知っているなら金を寄越すように伝えてく…ひぃっ!」
は男がそう口を開いた瞬間胸ぐらを掴み、殴りかかろうとしていた。
杏:「!だめだ!落ち着け!」
は杏寿郎に抑えられたまま口調もさらに変わり
:「貴様の金のために、一体怜がどれだけ傷ついてきたと思っている?体だけではない、怜は心にまで深い傷を負った。心の傷は体の傷のように数日では治らない。もしかしたら一生治らないかもしれない。」
男:「お、俺だって生きるために必死だったんだ、仕方ねぇだろ。女なら男より楽に金を稼げるじゃねぇか。」
:「はっ、遊郭の女にうつつを抜かすのが生きるためか。どこまでもクズだな。怜が楽に金を稼いだだと?10歳の女の子が、まだ初潮も迎えていない子供が、身体を売って金を稼ぐことが、楽だと、傷つかないとでも思うのか…?」
は目に浮かべていた涙をついにこぼした。
男:「…っ。」
:「初めては自分が慕う相手と、女なら誰しもがそう思うだろう。でも怜はたった10歳で、顔も知らない男に初めてを奪われたんだ。どれほど辛かったことか…お陰で、今でも知らない男を見ると怜は肩を震わせる。」
甘:「怜ちゃん…そんなことが…酷いわ…」
涙を浮かべる甘露寺の肩を小芭内は黙って抱いた。
次の瞬間男は信じられない言葉を吐き捨てた。