第6章 蝶屋敷
杏:「…だが、遊にが直接言っているのを聞いた。」
千:「…なんと言っていたのですか?」
杏:「付き合ってくれと言っていた。」
千:「それで、遊さんは…?」
杏:「俺でいいのなら、と。」
千:「そんな…きっと、兄上の聞き間違いなんじゃ…」
杏:「いや、確かにそう言っていた。」
千:「そうだったんですか…。僕、何も知りませんでした…。」
杏:「…俺のことはもう良いんだ。それより、千寿郎!千寿郎こそ、怜のことを好きだったのではないか!」
千:「…分かりません。怜がいないと寂しいし、怜にはいつでも笑顔でいて欲しいと思います。でもこれが、普通の友達に対する感情なのか、好きと言う感情なのかが分からないんです。」
杏:「そうか。今まで家のことを任せっきりだった故に友達を作ることもままなかったのだろう、すまないな。だが、なら怜を千寿郎の嫁にと考えた時、嫌か!嬉しいか!」
千:「怜が毎日家にいてくれるとなったらそりゃ嬉しいに決まって…あっ」
杏:「もう答えが出たではないか。」
千:「兄上…僕は怜のこと好きだったみたいです。」
杏:「すまないな、俺のせいで離れ離れにしてしまって」
千:「また会いに行けばいいだけですから、僕のことは気にしないでください。」
杏:「お前も男になったな、千寿郎。」
杏寿郎はへの、千寿郎は怜への気持ちを再確認したのであった。