第5章 再会
:「もう助けた。脳の手術もおわって、今では話せるし、物を食べることもできる。ただ、骨折してる箇所が多すぎて自分で身の回りのことができないの。」
遊:「お前が助けたのか…?」
:「他に誰がいるのよ。」
遊:「すごいな…普通なら諦めるぞ。」
:「自分のことができるようになるまででいい、完治するまでとは言わないから、遊の病院で預かってくれないかな?」
遊:「分かった。病室が逼迫するなんて滅多にないから、ちゃんと完治するまで預かるよ。」
:「ありがとう。助かるわ。それじゃあもう行くわね、3日後に連れてくるわ。またね。」
遊:「親父さんに会って行かないのか?きっとお前のこと心配してるはず…」
:「私にはもう父親なんていない。またね、遊」
そういうとタクシーを降りた場所に向かって2人は歩いて行った。
遊:「きっと何か勘違いしてるだけだよ……」
その声がに届くことはなかった。
タクシーに乗ると今まで黙っていた杏寿郎が口を開いた。
杏:「よもや、に許嫁がいたとはな!」
:「あんな小さい頃の話、しかもしばらく帰っていなかったので、破談になってると思ってました。」
杏:「は彼が相手だと砕けた口調になるのだな!俺にもそう話してくれて構わない!」
:「遊のことは幼い頃から知っていますからね。でも、杏寿郎さんには、きちんとしてるところをお見せしたいですから…」
は顔を少し赤らめながら話していた。
杏:「よもや……、そういえば最後父は居ないと言っていたな!あれはどういうことだ!」
杏寿郎まで照れてしまいそうなので、話題を逸らした。