第5章 再会
街へ着くと、意外にもすぐタクシーは捕まり、2人はそれに乗り込んだ。
杏寿郎はの方を見ると、が妙に神妙な面持ちをしていることに気づいた。
杏:「、どうしたのだ。何かまた憂いていることでもあるのか?」
:「…。え?あぁ、いえ特にありませんよ?」
はいつもの微笑みでそう言った。
杏:「よもや…俺の勘違いだったか。ところで、!今どこに向かっているんだ?!」
:「私が生まれた町です。そこに、知り合いの医者がいるので、その人に老婦人を頼もうと思って。」
杏:「昔から知っている者なのか!なら安心だな!」
そうですねとは笑って返した。
しばらくすると2人を乗せたタクシーは少し田舎の町に着いた。
杏寿郎が運転手にお金を払おうとすると
:「私の業務に付き合ってもらっているので、私が払います。」
杏寿郎が断ろうとする間も無く、は有り余るほどの代金を払った。そして、
:「ここは田舎なのでなかなかタクシーが来ません。少し多めに渡すので待っていてはもらえないでしょうか?」
運:「!?いつまでもお待ちしております!」
美女に微笑まれ大金を払われたら待たない男はいないだろう。
:「ありがとうございます。ではまた。」
が歩き出したのでそれに杏寿郎はついていく。
杏:「、気になることがあるんだが、聞いても良いだろうか?」
:「なんでしょう?」
杏:「君はさっき老婦人からお金を取らないと言った。往診してる時もそんなに多くの金をもらっているとは思えない。一体どうして、タクシー代をあんなに払えるんだ?」
これは杏寿郎だけではない、老婦人達が運ばれてきた晩、あの場にいた全員が気になっていたことだった。煉獄家に着いたタクシー運転手に、家の場所を口外しないよう口止め料として、結構な金額を払っていたのを見たから。