第4章 煉獄邸
:「鬼殺隊の専属の医者となったと申します。あちらは弟子の怜です。私共の屋敷が出来るまでこちらに居候させていただくことになりましたので、これから暫しの間よろしくお願いいたします。そして、ご挨拶が遅くなってしまったこと、心よりお詫び申し上げます。」
は三つ指を床につけ、綺麗な姿勢でお辞儀をした。
愼:「ふんっ、勝手にしろ。」
そう言ってその場を後にしようとした時、
怜:「痛っ!」
その声にも愼寿郎も振り返った。
震えた指で道具をしまっていたため、メスで指を少し切ってしまったのだ。
するとはすぐに怜の側により、
:「大丈夫よ。すぐに手当てすれば綺麗に治るわ。ほら、手を貸して。」
離れた手つきで消毒して、ガーゼを巻いて止めた。
その様子を見ていた愼寿郎はなぜか、亡くなった妻、瑠火のすがたをに重ねていた。
愼:(姿形は似ても似つかないのに何故だ?なぜ、瑠火の姿と重なる?)
愼寿郎はモヤモヤした気持ちのまま、今度こそその場を後にした。
それから杏寿郎と千寿郎が帰ってきて、愼寿郎に挨拶をしたことをは伝えた。2人はそれを聞いて大層驚いていたのは言うまでもなかった。
そんな様子でしばらく経ったある日
:「では今日も少し行ってきますね。」
千:「はい!いってらっしゃいませ!怜も、行ってらっしゃい。」
怜:「…行ってきます。」
と怜は煉獄家での生活に慣れ、鬼殺隊で怪我人があまり出なかった時には街に往診に行くようになっていた。
ある程度診察を終え、日も傾き始めた頃、2人は帰路に着こうとしていた。