第4章 煉獄邸
はいつのまにかいつもの表情を取り戻し、千寿郎に問いかけていた。
千:「そうだったんですか…僕、頑張ります。怜が克服できるよう、僕が頑張ります!」
:「会ったばかりなのに、不思議だね。千寿郎くんになら怜を任せられる。ありがとう。」
彼らはここで2人しか知らない約束を交わしたのだった。
それから3日経ち、2人はお館様の初の診察に来ていた。
:「少し近くで見させていただいてもよろしいですか?」
産:「あぁ、構わないよ。」
はよく観察し、触診も、体内の音なども聞いた。
:「体の全ての機能の働きが低下していっています。ただ、どこの部位が原因でそうなっているのかが分からないので、これといった治療法も分からない。申し訳ありません。ですが、必ず治す方法を考えるのでもう少しお待ちください。それまではこちらを1日に3度朝昼晩とお飲みください。少しは進行が抑えられるはずです。」
産:「これは何の薬かな?」
:「私の師が作った、人間の免疫を最大限まで高める薬でございます。人間に元から備わっている力を効率よく発揮させるだけなので、だんだんと効かなくなるということはありません。」
産:「なるほど。の師も腕利きの医者だったんだね。だけどね、私のこれは病ではない。呪いだ。治らないことは最初から分かっていたし、治す方法もない。これから探そうとも。だから治す方法を探す必要もないよ。この薬も、他にもっと必要としている人に使ってくれないかな?」
:「治らないと分かっていたのなら、治す方法がないことを知っていたのなら、なぜ診てくれとおっしゃったのですか。」
産屋敷しか気づいてはいないものの、のその言葉には少し怒気が含まれていた。
産:「がどれくらい病を患う者を、それ以上にその周りの者たちのことを考えているのかを見てみたかったからだよ。そしてそれを今確認出来た。は本当にすごい子だ。医者としても人間としても。」
怜は2人の会話を聞いていても何のことか全く分からなかった。