第4章 煉獄邸
:「ほんと?なら分かったわ。怜と同じように接するわね。千寿郎くんも、私たちに敬語を使わなくていいわよ。ね?怜」
怜は何か言いたげな顔だったが、ね?と言われるとはいとしか答えられなくなってしまう。
千:「ほんとですか!?でも、さんは年上なので怜さんにだけ敬語を外そうと思います!」
怜:「!?」
:「あらほんと?じゃあお互い敬語を外したことだし、これから千寿郎くんから怜に料理を教えてもらってもいいかしら?」
千:「はい!もちろん!きっと怜と2人ならもっと美味しい料理を作れるようになるよ!2人で頑張ろう!」
怜:「先生!そんな!勝手に決めないでください!」
:「もう決まりよ〜。」
怜:「はぁ…。」
杏寿郎はさつまいもがあるとわっしょいしか話せないので、3人の会話には今回は参加してこなかった。
4人は食事を食べ終えると、杏寿郎は任務の準備を、怜はに頼まれ医療道具の手入れを、と千寿郎は洗い物をしていた。
千:「すみません、洗い物手伝わせてしまって。」
:「いいのよ、これくらい、これから居候させてもらうんだから。それより千寿郎くん」
はいつもの微笑みは浮かべておらず、真面目な顔つきで洗い物の手を止め千寿郎の名を呼んだ。
千寿郎は少し驚いた様子で返事をした。
千:「はい」
:「怜のこと、よろしくね。千寿郎くんにならきっと、時間がかかったとしても、あの子の心を開くことができると思うの。」
千:「仲良くしたいとは思ってますけど、心を開く?もう十分さんには心を開いてると思うのですが…??」
:「そう、私にはね。ただ、私にだけ心を開くのではダメなのよ。これから医者としてあの子がやっていくには。」
千寿郎は少し困惑しているようだった。
:「あの子も過去にいろいろなことがあって、他の人が、特に男の人のことが怖いのよ。今でも男の人がいる場に行くと口数が減っていつもより補助の動きも鈍くなる。命は待ってはくれない。医者を続けるためにはそれらを克服しなければ、絶対にやっていけない。だから、千寿郎くんには怜がそれを克服する手助けをしてもらいたいの。頼めるかな?」