第20章 何度でも
:「煉獄さん、私、前にも煉獄さんとどこかで会ったことありますか?」
杏:「……なぜだ?」
:「私、煉獄さんと話したとき、初めて会った感じがしなかったんです。それに、あの日、煉獄さんが心配で高校の方まで会いに行ってしまって、女性といるの見たとき、勘違いだったって、私が今までそんなことなかったから舞いあがっちゃっただけだって、自分に言い聞かせたんです。」
杏:「それは…」
:「まだ続きがあるんです。でもそれは自分に言い聞かせたつもりでしかなかった…奢りかもしれないけど、煉獄さんも私を好いてくれてるって確信があったんです。それに私もなぜか分からないけど、ずっとあなたに会いたかった気がするんです。何か大事なことを忘れているような、そんな感じ。煉獄さん教えてください。私は何を忘れているんでしょうか…?」
杏:「…君は前世の話をしたとき、そんなふざけた話をと言ったな。」
:「…はい…」
杏:「確かにそう言われても仕方がない。だが、本当のことなんだ。前世の記憶を俺は持っている。俺だけじゃない、遊も胡蝶も宇髄達も。皆前世の記憶がある。前世から俺たちはずっと繋がっていたんだ。そして俺と君は将来を誓い合った恋人だった。それは果たされぬまま死別してしまったがな。」
:「…」
杏:「そのとき俺は君と約束したんだ。生まれ変わったなら何度でも君を見つけ出すと。何度でも結婚を申し込むと。そして君を見つけた。」
:「…ずっと…ずっと、私のこと探してたんですか?前世からの約束を果たすために…?」
杏:「あぁ、そうだ。でも生まれ変わって君とまた出会って気づいた。前世での約束が無くとも、俺は君に恋した。」
:「私…そんな大事なこと忘れてしまってるんですね…。」
杏:「信じるのか?」
:「はい。だって、私が初めて会った気がしなかったのも、あなたにずっと会いたかった気がする理由もそれで全て説明がつく。」
杏:「。」