第20章 何度でも
それから杏寿郎も連絡できないまま数日経った日のこと、千寿郎はルンルン気分で話していた。
千:「兄上!明日の授業参観来てくれるんですか!?」
杏:「あぁ!たまたま明日は振替休日だからな!」
千:「すごく嬉しいです!怜のことも見せられますね!」
杏:「あ、あぁ。そうだな。」
千:「…兄上、さんと何かあったんですか?」
杏:「…千寿郎に隠し事はできんな…俺はに嫌われてしまった…」
千:「!?どうしてですか!?」
杏:「を傷つけてしまったからだ。」
千:「なんで傷つけたかは言えないってことですね…きっともう少し時が経てば、また前のように話せる時が来ますよ。」
杏:「そうだな、そう願おう。」
そして授業参観の日となった。
授業参観の内容は家族へ宛てた作文を読むというものだった。
千寿郎は自分の家族の温かさを、怜は自分の家族が全員医者で人のために働いている素晴らしさを書いていた。
杏寿郎は瑠火の代わりに来たが、怜の家族は誰も授業参観にはきていなかった。というのも、怜の家族は全員医者のため、忙しくて来れなかったのだ。
帰りは皆参観日にきた家族と帰っていたが、怜は1人で帰っていた。
杏寿郎と歩く千寿郎が1人で歩いている怜に気づき、声をかけようとしたとき、怜は道路へと飛び出していった。
バスが来ているというのに道路の真ん中で怯えている猫を怜は助けようとしたのだ。
キキィーーーーーー!ドンッ!
千:「怜!」
千寿郎は駆けつけた。だがそこに倒れていたのは怜ではなく、杏寿郎だった。危ないと思った杏寿郎は瞬時に怜をかばったのだ。
千:「!?兄上!兄上!」
怜:「いたたっ…」
千:「怜!怪我してるっ…」
怜も杏寿郎に突き飛ばされたため怪我をしている。
そして2人は救急車で運ばれた。