第3章 柱合会議
そこへ胡蝶しのぶがやってきた。
胡:「私は、蝶屋敷に身を置いて頂いても構いませんよ。お館様が腕利きの医者とおっしゃったくらいですから、相当な数の人を救ったのでしょうね。私もその技術を近くで見てみたいです。一体何人の命を、どんな難病の人を救ったのですか?そして…何人の命を取りこぼしたのですか?」
しのぶは顔は笑っているものの、目の奥は笑っていない。自分もそれなりに薬学を学び、鬼殺隊の者たちの治療をしてきたため、少なからずたちのことを快くは思っていないのだ。
は、はっとした。
一瞬では言葉を返せなかった。
怜:「そ、そんなの数え切れないほど救ってきたに決まってるじゃないですか!先生はみんなが諦めてしまうような怪我や病気も、絶対に諦めないで最後まで向き合ってくれる人なんです!」
怜は語尾を強めて言った。
胡:「諦めずに向き合って、最後にはその方の命は救えたのですか?」
畳みかけるように胡蝶が言う。
が口を開こうとした時、それまで黙ってそれぞれの会話を聞いていた杏寿郎が割って入ってきた。
杏:「あぁ!俺は、2人がどんな身分のものであろうと、どんな症状の者でも向き合っている姿をこの目で見た!医学は学んだことがないゆえ、その病気が軽い重いなどは分からないが、2人の誠実さは見れば分かる!そろそろ俺の家へ向かおう!千寿郎も心配している頃だろう!」
杏寿郎は、いつも微笑みを浮かべているがあまりにも悲しそうな顔をしていたので、放って置けなかったのだ。
胡:「そうですか。では、その技術と見捨てない心を目の当たりにできることを楽しみにしておきますね。」
杏:「さぁ!少女!怜少女!行こう!」
しのぶの言葉にが返答しなくていいように、杏寿郎がそう言ってさっさと外に向かった。
:「はい」
はいつもの表情を取り戻し、怜は何も言わずにしのぶを睨みつけるようにして杏寿郎について行った。
悲:「お館様のことを診察する者だ。あまり疑うような行動をするのはよせ…。かわいそうだ。南無…」
胡:「私は疑問に思ったことを質問しただけですよ〜」
そう言って胡蝶も去っていった。