第17章 振り出し
杏:(頼む、頼む、待っていてくれ、電車を逃したくらいで危険な目に合わせたりは絶対にしない、次こそ俺が守るから、もう絶対に見失いたくない!)
階段に差し掛かる前に電車は出発してしまった。
杏寿郎は一気に階段を駆け降りた。
杏:「っはぁっ、はあっ、はあっ」
:「…?どうしたんですか?」
杏:「っ…待っていてくれたのか…」
:「電車なんてまだまだありますし、それに、あんな大きな声で呼び止められたら何事かと思うじゃないですか。」
杏:「そうか…それもそうだな」
:「あの、前に朝角のところでぶつかってしまった方ですよね?」
杏:「あぁ、そうだ。」
:「やっぱり!その髪の色!そうですよね!もしかして何か怪我させちゃってましたか?だから私のこと…ん?そう言えば私名前教えたことありましたっけ?」
杏:「いや、ない。」
:「ではなぜ…」
が少し怪しげな顔をし始めた。
杏:「君は、前世というものを信じるか?」
:「前世…?」
杏:「あぁ、前世だ」
:「あるのかもしれないですけど、大抵の人は覚えていないでしょうね、なにか本当に大切なことでもない限り。」
杏:「そうか。俺は前世の記憶をもっている。そして俺の周りにも前世の記憶を持つものが多い。そして、君は、前世で俺の最愛の人だった。」
:「…そんなの、信じられませんよ…」
杏:「俺の目を見ろ、嘘かどうか探ったらいい。」
:「目を見ろと言われても…分かりませんよ…そんなの」
杏:「見たい者の過去を見ることが今はできないのか?」
:「そんなことできるわけないじゃないですか。きっと人違いですよ。そんなふざけた話をするために電車を逃しちゃったなんて…次のに乗りますから。」
杏寿郎はの手を掴んだ。
杏:「行かせない。もう失いたくないんだ!」
:「やめてください、警察呼びますよ?」
するとそこへ