第17章 振り出し
杏寿郎は次の日からまた会えるかもしれないと、電車で学校へ通うようになった。
だが、杏寿郎の当ては外れ、に会えないまま1ヶ月が過ぎた。
というのも、伊黒夫妻の店に、遊、しのぶの誰かが来ていれば、情報が掴めたのだが、誰もきていなかったのだ。
その上学校でも期末試験が近づいていて、その準備で杏寿郎本人たちも忙しかったのだ。
杏:「よもや…どうしたことか…」
杏:(今までテスト制作にこんなにも行き詰まったことはなかった…に会えたら、解決するのだろうか…)
女教師A:「どうしたんですか?煉獄先生、コーヒーどうぞ」
杏:「あぁ、○○先生、すまないな。」
女教師A:「珍しいですね、煉獄先生がテスト制作にそんなに行き詰まるなんて。何か私生活で悩みでもあるんですか…?私でよければ聞きますよ」
上目遣いをして接近しながら聞いてきた。
杏:「いや、大丈夫だ。ありがたいことに、すでに相談に乗ってくれる友が俺にはたくさんいるのでな。今日はもう遅い!○○先生も危ないので早く帰るといい!」
女教師A:「…危ないと思うなら送ってはくれないんですか…?」
杏:「見ての通り行き詰まってる故、そのような余裕はない。すまないな。」
杏寿郎は目も合わせずに言い放った。
女教師は態度をころっと変えてそそくさと帰っていった。
煉獄は家に仕事を持ち帰り、テスト制作を行なった。
そしてテストが終わり教師たちにとって束の間の休息の時期がやってきた。
杏寿郎はまだ電車通勤をやめずにいたので、帰りの電車をまつのにホームへと歩いて行った。
杏:(もし、今年度が終わっても見かけることがなかったらもう電車通勤はやめよう。)
そう思っていると向こうのホームに会いたかった人の姿が見えた。
だが、向こうのホームの人たちが乗ろうとする電車がもうすでに迫っている。
杏:(走っていては追いつかん…また見失ってしまうかもしれない…ならばやむを得ん!)
杏:「!すぐに行くからそちらで待っていてくれ!」
は杏寿郎の声に気付きこちらを振り向いた。
その時ちょうど2人の間に電車が来てしまった。