第14章 幸福
:「怜、次の新たな目標が見つかったじゃない。」
怜:「今見失ったばかりなのに…なにを…」
:「私を目標としなくても、生きていけるようにすること。これが怜の新たな目標よ。そしていつか、私を超えて。怜なら絶対できるから。私が逝く前に、安心させて。一月半でどこまで行けるのか楽しみね!」
怜:「…分かりました。絶対に先生の弟子として、先生を超えてみせます。ちゃんと見ていてください。」
:「ありがとう、怜。じゃあ外で杏寿郎さんが待ってるだろうから今日はもう行きなさい。」
怜は返事をして出て行った。
怜と杏寿郎は一言も発さずに家へ帰った。
静かになった部屋で、は杏寿郎の言葉を思い出していた。
杏:「…君は、嘘はつきたくないと言っていたから、嘘はつかないものだと思っていた…」
:(私は杏寿郎さんにも怜にも大丈夫だと嘘をついた…。それだけじゃない、私は自分自身にさえ、嘘をついてたんだ…。何が嘘つきになりたくないよ…大嘘つきじゃない…杏寿郎さんにも怜にもあんな悲しい顔させて…自分で自分が嫌になる…)
は左手で膝を抱えて泣いた。
嘘をついてしまった自分への叱責と、死の恐怖と、さまざまな感情がごちゃ混ぜになってしまったのだ。
善:「炭治郎、誰か、女の子が泣いてる音がする。」
炭:「そうなのか?俺は匂いを感じないけど…」
伊:「それ本当なのかよ?何も聞こえねぇぞ!」
善:「本当だよ…」
炭:「善逸、その音がする方まで連れてってくれないか?」
善:「そんなこと言って炭治郎、女の子の弱みに漬け込んでどうにかしようとしてるんじゃないの?」
炭:「ただ心配なだけだろ!どうして善逸はいつもそうなんだ…。」
蝶屋敷にいた3人はああだこうだ言いながら、音のする診察室の方へと向かった。
善:「ここからする…」
善逸がドアノブに手をかけた。