第13章 不安
四日後、杏寿郎と怜がしのぶから呼ばれた。
胡:「お二人には、本当にお伝えしづらいのですが…さんはもう先が長くないです…。」
怜:「…なぜですか?やっぱり私の治療の仕方が間違っていたから、先生は!」
胡:「違います!それは絶対に違います。怜さんの治療の仕方は間違っていなかった、私も遊さんも同じ状況に居たら同じ判断をしました。」
怜:「なら、なぜ!?」
胡:「鬼の唾液です…。さんの血には臓器を壊死させる作用が見られました。おそらく腕を食われた時、傷口に鬼の唾液が付着してしまったんでしょう。」
杏:「…鬼から受けた作用ならば、日輪刀を刺せば治るのでは…」
胡:「無理です。血鬼術でもない上に、鬼が自分で無から作り上げた毒ではない。自分は死なないのをいいことに、毒を摂取していたのだと思われます。」
怜:「でもどうして…腐った肉なんて鬼は食べたくないんじゃ…」
胡:「これは推測にしかすぎませんが、その毒は人を腐らせる代わりに自分の体を大きくする作用があったのだと思います。煉獄さんや不死川さんの話を聞く限り、その鬼は決して強くはなかった。ということは食べている人間の数は少ない。それなのにその巨体。普通に考えればおかしいことが、こう考えれば辻褄が合います。」
杏:「…そのことはに話したのか…」
胡:「はい。ですがさんは有能な医者です。自分が長くないことは話す前から気づいて居ました。」
杏:「…そうか…。どのくらいの時間がには残されている?」
胡:「壊死が心臓に広がるまでなので、はっきりとは分かりませんが…おそらく一月半くらいかと…。」
怜:「たったそれしかないんですか!?」
胡:「…はい。お館様が服用されている薬と同じものをきちんと飲んでそのくらいです。ですから、本当なら持って3週間というところです。」
怜はただ泣いているばかりで、杏寿郎はもう何も言えなかった。