第13章 不安
翌日と、愼寿郎を除く煉獄家に住む者たち、遊、そして、炭治郎、善逸、伊之助、任務のないしのぶ、不死川、宇髄、悲鳴嶼はの父の一周忌に来ていた。
の家族の墓の前でみんなが静かに手を合わせる。そしてその墓の隣には、の師範の墓もあった。
:「では皆さんは、先に寺の方で御斎をしていてください。すぐに私も向かいます。」
善:「なぁ、炭治郎」
炭:「善逸もか、さんから迷いと不安の匂いがする」
善:「指輪してたけど、煉獄さんとの結婚、何か思うところがあるのかな…」
この会話を聞いた杏寿郎は居ても立っても居られなくなり、の元へと戻った。
は墓に何か話しかけてるようだった。
:「父さん、母さん、兄さん、師範、私ね、結婚するの。こんな素敵な指輪までくれたのよ。見て。優しくて強くて、かっこよくて、私には勿体無いくらいの人なんだ。たけどね…迷ってるの…。」
杏寿郎は黙ってみていた。
:「私自身、杏寿郎さんと結婚することには何の迷いもないの。なんなら今すぐ結婚したいくらい!けど…怜のこと考えたら…私だけ、いいのかなって。私、今までのように怜を導いていける自信がないのよ…右腕を失ってしまった今、師範のように自分の背中を見せることができない…。あの時、怜には何も心配ないって言ったけど、本当は不安で不安で仕方ないの…どうしたらいいの?師範…父さん…」
泣いていたのことを杏寿郎はそっと抱きしめた。
杏:「君が、医学のことで悩んでいるのを初めて聞いたな。」
:「今までは怜の失敗は私が無かったことにしてあげられた。怜の技術も向上してきたとは言え、まだ私や遊のようにはできない…私1人で、利き手でもない方の片腕だけで、どうやって教えていけというのよ…」
杏寿郎は黙って抱きしめる力を強めた。
遊:「も怜も1人じゃない。」