第12章 大切なもの
伊:「でも、安心させるための嘘とかそんな感じの目はしてなかったぞ?」
善:「俺も初めて聞いたな。あんな穏やかな音。腕を失ったばかりだってのに。」
炭:「しのぶさんが人として尊敬できるって言ってた意味がよく分かりました。」
それから3日経っては蝶屋敷から退院した。
それからというもの、杏寿郎は前よりから離れなくなっていた!
杏:「!何をしてる!」
杏:「!どこに行く!」
杏:「!どこにいる!」
:「ここにいますよ、杏寿郎さん、そんなに呼ばなくても、消えたりしませんよ?」
杏:「分かっている!だが、心配でな!」
:「明日の準備をしてるだけですよ。何も心配することありませんよ。」
時が経つのは早いもので、明日はの父の一周忌だった。
杏:「あれから1年も経つのか、早いな。」
杏寿郎は後ろからを抱きしめた。
:「そうですね。でも、てことは私たちが結ばれてから1年経つということになりますね?」
杏:「あぁ、そういうことになるな。、鬼を滅したその日には俺と結婚してくれないだろうか?」
杏寿郎は体をゆっくり離し、にこちらを向かせた。
杏:「西洋では、結婚の申し込みをする時こうすると聞いた。」
杏寿郎はの前に跪き、の残っている左手の薬指に指輪をはめた。
杏:「、俺の妻になってくれぬか?」
:「…はい…。こんな、私でいいのなら。」
涙を流して答えた。
杏:「君以外、考えられない。」
2人は触れるだけの口付けを交わした。
:「私、なんで利き腕をって、思ってました…でも、残っていたのが左腕で良かったです…」
杏:「鬼殺隊には目が見えないものも、口に怪我を負ってる者もいるが、皆不幸ではない。体に不自由があるのは不便かもしれないが、不幸には繋がらないんだ。」
:「それは私が今1番実感してますよ。杏寿郎さん、私、今人生の中で1番幸せです。」
は微笑んで杏寿郎の顔を見た。
まだ昼間だったが杏寿郎は抑えきれず、のことを愛したのだった。