第12章 大切なもの
:「いいのよ、怜、うっかり忘れることなんて誰にでもあるわよ。もちろん私だってあるわ。」
怜:「先生、先生の腕はたくさんの命を救える。普通の人の腕よりも価値あるものなんですよ。それを失ったんです。もっと怒っても悲しんでも、誰かを責めても、バチは当たらないですよ。」
:「怜、私は何も失ってないわよ。」
そこにいた全員がその言葉に驚いた。
:「私の右腕はまだここにある。そうでしょ?怜」
怜:「どこに…!?」
は怜を抱きしめた。
:「あなたよ、怜。怜が私の右腕よ。私の失った腕はもともと他の人と同じ価値だった。その価値を上げていくのは、自分自身なのよ。幸い私は命がある、怜のそばにいながら見て助言する目も口も、怜をこうして抱きしめて撫でる左腕も残ってる。私は何一つ失ってない。だから大丈夫。これからも一緒に、成長していこうね。そして、私が何も失わずに済んだのは杏寿郎さんと、不死川さんのおかげよ。怜も感謝してね。」
杏寿郎は思わず2人ごと抱きしめた。
杏:「、君は…君はなぜそんなに…優しく、強くいられる…?君のその小さな体のどこから、そんな強さが出てくるんだ…?」
:「ふふ、みんながいてくれるからですよ。みんながいてくれるから、強くいられるんです。私1人の力なんてあってないようなものですよ。」
胡:「さぁ、そろそろさんも疲れた頃でしょうから、ゆっくり寝かせてあげましょう。」
しのぶのその声かけで、怜以外の者は全員部屋を後にした。
遊:「杏寿郎、不死川、すまなかったな、さっきは。感情的になりすぎた。」
杏:「あぁなるのも当然だ。」
不:「が、あんなこと言ってくれるなんて夢にも思わなかったぞォ。」
胡:「さんは本当に優しすぎると思います。」