第12章 大切なもの
しばらくすると、が目を覚ました。
:「ん、んんっ…あっ、私…」
は今まで自分の右腕があったはずの場所を見た。
:「…」
覚悟はしていたものの、やはり実際に見るとショックだった。
処置室の外では
善:「あっ…」
胡:「さんが目を覚ましたようですね。」
外で待っていた者が全員中へと入っていった。
真っ先にのもとへ駆け寄っていったのは怜だった。
怜:「先生!良かったぁぁぁ!うぁぁぁぁん!」
:「怜、すごいじゃない。本当に一人でやったの?」
遊:「…最後傷口を綺麗にするくらいだよ、俺たちがやったのは。あとは怜が1人で全部やったもんな。」
:「よく出来たわね。偉いわ。…これからは、怜1人に治療を任せられるわね…。」
炭:(さん…本当は自分が治療を続けられなくなって悲しいんだ…)
はふと杏寿郎達の方を見上げた。
:「杏寿郎さん?」
杏:「本当にすまない…あの時やはり君を1人にするべきではなかった。柱であるというのに、判断を誤った。そのせいで誰の腕よりも価値がある君の右腕を失わせてしまった。」
:「杏寿郎さん、不死川さんも。そんなに自分を責めないでください。私すごく感謝しているんですよお2人には。」
不:「そう言われても、責めずにはいられねぇよォ。」
:「たった腕一本。生きたくても生きられない人が大勢いる中、私はたった右腕一本で済んだんです。お2人がもっと遅かったらきっと死んでました。」
杏:「でも、もしももっと早く助けられていたら…」
:「もしもはないんですよ。あの時間にお二人が来てくれたから腕一本で済んだ。ただそこにその事実があるだけなんです。だから、責めたりしないでください。」
善:(悲しい音が消えた…今は感謝の音だけがしてる…)
:「遊もしのぶさんも、怜が1人で心細い時、そばにいてくれてありがとう。2人が側にいてくれるだけで心強かったと思うわ。」
遊:「、お前は…」
胡:「優しすぎます…」
怜:「先生…ごめんなさい…そもそも私が聴診器を忘れたりしなければ…きっと…」