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追う背は近いから【ヒロアカ】

第1章 もどかしい


教室は静かだった。

でも机にかけられたブレザーや、開きっぱなしの通学カバンが机の上にあったりと人のいた残像のようなものが残っていて、どれかが彼のものだと連想してしまう。

期待と緊張はほどけてしまった。

私の物であろう席の上に体育着が掛けられていてその上にメモがあった。右上がりのさっぱりとした筆跡は担任の相澤先生のものだろう。"個性把握テスト、グラウンドαにて"と、簡潔過ぎて清々しいほどだった。

2、3秒それを見つめたあと、時計を見た。もう9時を回っていた。入学式はこの学校にはないらしい。

体育着に着替えないといけない。
誰もいないからここで着替えよう。どうせ誰もいないから恥ずかしくない。


何故か君を思い浮かべた。いやいつも思い浮かべてるけど、今は強く思い浮かんだ。記憶の中の彼はまだ小さな少年けど、今は絶対にもっとカッコよくなってる。
でももし君に彼女や好きな人がいたらと思うと、その人を君に気づかれないように、この世から消してしまいたくなる。

ブレザーを脱いで椅子にかけて、ネクタイに指をかける。結びが甘かったからすぐに解けた。
ワイシャツのボタンを上から順に外していく。そしてはらりと腕を抜いて肩から落とす。自分の目から見ても比較的大きめの胸。少し、少し気合を入れて、私の髪と同じ色の下着を着てきた。別に誰に見せるわけでもないのに。別に誰に見てほしいわけでもないのに……多分。

上半身に下着一枚では肌寒い。すぐに雄英指定の体育着を着て、スカートを脱いだ。勿論上とセットの下着を履いている。 
少し胸のあたりがきつい体育着に着替え終わって、タオルと水筒を持ってグラウンドへかけた。
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