第10章 変化
「歌姫センパ〜イ、無事ですか〜?」
「硝子!なまえ!」
「先輩、心配したんですよ!2日も連絡ないってきいたから!」
純粋に安否を心配する後輩の姿にいたく感動したらしく。抉れから抜け出した歌姫は、真っ先に可愛い2人の後輩を抱きしめた。
「アンタ達はあの2人みたいになっちゃ駄目よ!」
「あはは、なりませんよあんなクズども」
「悟、夏油、何したの…」
安否を確認して早々、また歌姫先輩を揶揄ったのかと思わず目を細めて2人を見るが、罪悪感のかけらもなく、しれっとしている。
ふと、我に返った歌姫が、「…2日?」と疑問の声を上げた。
五条の話を聞くと、どうやら呪霊の結界で時間がズレていたようだった。彼女たち2人にとっては、30分ほどの出来事で、まさか2日も経っているとは思わなかったのだろう。
何はともあれ、無事で良かったとなまえは心から頷いて。
「それはそうと君達」
冥冥の呼びかけに、4人は何の気は無しにそちらへと視線を向け。
「帳は?」
4人は、同じ顔をして固まったのだった。