第9章 祈り
なんといっても、この中でセンスが抜群なのは硝子だろう。そんな彼女からのプレゼントを得て、ほくほく顔のなまえ。
それじゃあ、せーので一斉に開けようと、掛け声をかけてから、包装してあるリボンを丁寧に解いていく。小さなその包みから出てきたのは、細い革製のブレスレットだった。透明な石がワンポイントで埋まっていて、とてもシンプルでお洒落なデザインだ。
「うわー!すてき!ありがとう硝子!」
「あはは。誰に当たるか分かんないからユニセックスなのにしたわ」
横文字を自然と使う硝子に、なまえは更に尊敬の眼差しを向ける。早速腕に付けて、周りを見てみれば、各々プレゼントを開封したようだった。
「アロマじゃん。夏油センスいーね」
「なら良かった。けっこう何にするか悩んだよ」
「おいなまえ、お前これ…」
「夜蛾先生特性呪骸でーす!」
恐らくライオンだと思われるぬいぐるみの腕を掴んで持ち上げる五条。夜蛾の名前を聞いて、その表情が引き攣る。その表情に気づいて、なまえは慌てて両手を振った。
「あ、でも目は私が縫ったよ!」
「だから目だけ歪んでんのか」
「しかも目覚まし機能付き!呪力を流すと、朝の6時と夜の6時に、録音してある私の声が流れます」
因みに呪力を多めに流すと6時じゃなくても喋りますと言われて、試しにぬいぐるみに呪力を流す五条。『朝だよ!起きろー!』となまえの声で腕をブンブン振り回すぬいぐるみを見て、五条はどこか呆れた顔をする。
「何この微妙な機能。どっちかっていうと、呪いの人形じゃね?」
「悟、お前人のこと言えないだろ。何だよこの仮面は」
「あ、それいいでしょ?○○って国の地方にある、とある民族の魔除けの仮面だって」
「どこでそんなの見つけてきたんだか…」
夏油の手にある、つぎはぎでカラフルな色の付いた仮面は、目は笑っていて口は頬まで裂けて笑みを描いている。どこからどう見ても呪いの仮面だ。
少し五条からのプレゼントが気になっていたなまえだったが、あれじゃなくて良かったと心からそう思った。
プレゼント交換が終わった後は、4人で桃鉄ゲーム大会が始まった。ルールを知らない硝子となまえは、五条と夏油が設定するままに、99年を了承し。数時間後、あの時の設定を止めなかったことを深く後悔することになるのだった。