• テキストサイズ

花火 ー呪術廻戦ー

第8章 遠出



ピチピチと手のひらサイズの小さな尻尾が、なまえの左手に握られている。どうやら呪力の殆どが詰まっていた身体本体を五条に潰されて、尻尾自体には、大した力が残っていないようだ。

左手にグッと力を込めて、パンと尻尾を握り潰すと、ようやく一息つく。
あまり時間を止めすぎると、息切れしてしまうのが恥ずかしい。ごまかすように、腕で口元を拭うふりをして覆い隠す。


「トンネルで引きこもりしてる呪霊だけあって、歯応えなさすぎ」

「いやいやいや、あの吸い込みけっこうやばいやつだから。普通成すすべなく吸い込まれちゃうから」

「吸い込まれんのなんて歌姫ぐらいじゃね?」

「歌姫先輩を先輩って忘れてない!?」


相変わらず失礼なと五条の方を睨めば、彼がなまえの顔を見ていたことに気付いた。ばっちりと目が合って、照れてしまいそうになる。
いつから見ていたんだろうと、「な、なに?」と聞けば、「べっつにー」と視線を逸らされる。
本当になんなんだ。

息切れが落ち着いたなまえは、口元から腕を離すと、学校に任務完了と破壊してしまったトンネルのことについて連絡する。
トンネルが崩壊した件で、学校側の反応の雲行きが怪しくなってきたため、あれー電波がーと一言呟いてから携帯の電源を落とした。
もしここに硝子がいたならば、五条化してきてると突っ込まれただろうが、幸か不幸か、ここには突っ込みを入れてくれる人間はいない。


外へ出て、2人でタクシーを拾った後。このまま学校が用意してくれたホテルに行くのかと思い込んでいたなまえだったが、せっかくだから観光してくかと提案する五条に、勢いよく頷いた。

/ 218ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp