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花火 ー呪術廻戦ー

第8章 遠出


夜、なまえが自分の部屋で明日からの任務に備えた荷造りをしていると、部屋をノックする音が聞こえて顔を上げた。
はーいと声をかければ、ドアが開いて硝子が入ってくる。

「荷造り中だったか。忙しいとこにごめん」

「大丈夫。もうほとんどできてるから」

着替えにおやつに暇つぶし用の本と、詰め込めるだけ詰め込んだ鞄のチャックをなまえは力を込めて引き、無理矢理閉める。
そうしてコロンとフォルムが丸くなった鞄を見ながら、硝子がベッドに腰掛けた。

「明日の任務、気を付けなよ」

「ん?」

「今回の任務、呪霊となまえの階級が釣り合いとれてないじゃん」

「それ、ほんとにね。まぁ危なくなったら五条に全部押し付けるよ」

心配して来てくれたのだと分かり、自然と顔が綻ぶ。実際、五条がいればそんなに危ないことにはならないだろうと楽観視できるぐらいには、彼の実力を信頼していた。

「今回の呪霊、逃げ足が早いって言ってたから、どっちかっていうと、私は逃走防止役なんだろうし」

夜蛾先生が言っていた、術式の相性。確かに、逃走防止の点だけで言えば、なまえにとって悪くない相手だ。


なまえの術式、『逢魔時(おうまがとき)』。

時間に干渉できるその術式は、平たくいうと、なまえ以外の時間を止めることができる。
一見、最強の術式に聞こえるそれも、様々な制約と制限があって、あまり使い勝手はよくない。だからこそなまえは準二級にいるわけで。
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