• テキストサイズ

花火 ー呪術廻戦ー

第7章 花火大会



「なまえー、着替え終わった?」

「逆に終わってなかったらどうする気だったの?」

「手伝おっかなって」

なまえの代わりに呆れた声で返事をする硝子にも、全く気にしていない様子の五条。
プライベートとかいう言葉、知らないんだろうなとなまえは思う。もう夏休み中の生活で、彼のこんな部分には慣れてしまったが。

五条の後ろから、「失礼するね」と夏油も顔を出す。

「なまえ、怪我したって聞いたけど大丈夫だった?」

「あ、うん。硝子に治してもらった。心配かけてごめん」

「そんなことより、女子の部屋にずかずか男が2人も入ってくるってどーよ」

出てけ出てけと、女子2人の時間を邪魔された硝子が不機嫌そうに手をシッシッと払う。

その様子を見て、ああ、いつも通りの4人だと、なまえは少しほっとした。あの時、自分のせいで空気を壊してしまったことを、気にしていたのだ。

和やかになる部屋に、まさかの爆弾を投下したのは、意外性も何もない五条悟だった。



「恋人の部屋に入ってるだけだから何の問題もないでしょ」



その、何でもないように放たれた一言に。
その場にいた全ての目が五条に向けられ、一拍後、次はなまえへと一斉に視線が集まり、ポカンとしていた彼女は、そこで正気に戻った。

驚きから抜け切らないまま、慌てて右手をぶんぶんと音がするくらい左右に振る。

「え、しら、知らない知らないっ」

「あ、そっか。これからなる予定だったんだ」

混乱の絶頂にいるなまえに、五条がニコリと笑顔を浮かべる。
その様子を見ていた硝子は、そこで五条の企みを察した。
それは、囲い込みと、牽制。

「(うっわ。ついに自覚したのか。逃す気ないじゃん。)」

呆れる気持ちと、なまえの心境と今後を思って、不憫に感じる。


「そういうことだから、よろしく。なまえ」


逃す気はないのだと、彼の声色がその本気さを伝えてくるが。


「(この子、もうとっくにあんたに落ちてるんだけどね…)」


最早、できすぎた出来レース。
やっぱりめちゃくちゃおもしろいわ、と。硝子は対照的な表情を浮かべる2人を見つめるのだった。
/ 218ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp