第1章 出会い
脳内で、誰に言う訳でもない怒涛の言い訳が飛び交って。
怒りよりも先に、羞恥が彼女の頭を占める。助けを求める様に、涙目で、そろりと顔をあげた彼女の前で、2人が夜蛾から拳骨をくらっているのが見えた。
痛がる様に頭をかかえた銀髪の彼と、再び視線が合う。
フッと、小馬鹿にしたように、鼻で笑った彼。
心が、ポキリと折れる音が、確かに聞こえた。
(っ、……高校生活…終わった…)
先程咲いたばかりの、頭の中の花達は一瞬で散り。
代わりに、今日何度目になるか分からない言葉を、頭の中で呟いたのだった。
そこから、どうやって席に着いたか覚えていない。
おそらく自己紹介をしたはずだが、パンツのことが頭をぐるぐる回ってそれどころではなかった。
席に座った途端に上半身がグニっと前へ崩れ落ち、机と頬がこんにちはをする。
「だいじょーぶ?あいつらクズだから気にしない方がいーよ。」
そこでようやく、隣に座る女子生徒に気づいた。
焦燥感漂う表情のまま、あ、うん…と消え入りそうな声を返す。
「私、家入硝子。よろしくね。4人目のクラスメイトが女子で嬉しい」
ニコッと、どこか穏やかな空気を纏う彼女に、地獄の底辺まで堕ちていた心が、少しばかり上昇するのが分かる。
可愛い女の子…よかった、仲良くできそうかも…そう思って微笑んだなまえだが、硝子の言葉を思い返して、え?と眉をよせる。
「よ、にんめ…?」
「ん?そーだよ。そこのクズ達…五条と夏油、あと私となまえで、4人」
「え……よ、4人!?4人しかクラスメイトいないの!?」
「うっわー、こいつそんなことも知らないで高専にきたのかよ。」