第1章 出会い
思わず大きな声になってしまったなまえの右隣から、聞き覚えのある声が聞こえる。
恐る恐る引き攣る表情を押さえつけて隣を見れば、呆れた様に大袈裟に両手を広げた白銀の髪のイケメン(五条悟というらしい)が視線をこちらへ向けていた。
「オマエの周りに、呪いが見えるやつってそんなにいた?」
「…私だけだけど…」
「でしょ?呪術師はね、貴重で珍しいわけ。覚えとけよ、ものを知らないおじょーちゃん」
ププッとわざとらしく口元を押さえて見せる五条に、なまえはひたすら混乱した。
今まで周りにこんな人間がいなかったからだ。
初対面で、自分はどうしてこうも揶揄われているのだろう。
そして、パンツを見られた。
「わ、私…あなたに何かした…?」
「悟はね、こういう人間だから諦めた方がいいよ。普通の感性に当てはめちゃいけない」
「そうそう、まともに取り合うだけ時間の無駄だよ。さっき言ったでしょ?クズだって」
思わず途方に暮れた声を出したなまえに、他の2人が諦めろとばかりに首を振る。
どうやらなまえがいなかった一週間で、この2人は五条悟という人間性をしっかりと理解したらしい。
「はぁ〜?俺という人間が普通の人間なんかじゃ測れないっていうのには賛成だけど、クズって聞こえたのは俺の聞き違い?天才の間違いだよね?」
いや、クズだよ…。
普段からできるだけ人の悪口は言わないようにとごく真っ当な教育を受けてきたなまえも、思わず心の中で返した。