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花火 ー呪術廻戦ー

第5章 初夏


「お帰りなまえ。…やせた?」

「いや…やつれただけ…」

「硝子ー、帰ってきたのはなまえだけじゃないけど?」


3人を出迎えた硝子に、五条が突っかかるが、あーほんとだねーと慣れた様子で硝子は流す。
そんな彼女を目に入れて、惹きつけられるようにしてふらふらとおぼつかない足取りで近づき、なまえは硝子に抱きついた。
そんななまえの背を、聖母のようにぽんぽんと優しく叩く硝子。

車という密室空間で五条と隣に座るという行為は、なまえの生命力をがりがりと削った。
距離も近ければ、足や手が車の揺れに合わせて当たるのが意識されて。そして何より


「(いい匂いが…って、私は変態かっ)」

「…向こうで何かあったの?」

「いや特に。帰りの車からこんな感じ」


何故か疲労しているなまえの姿に、硝子は不思議そうに首を傾けるが、五条も知らなーいとばかりに両手を上にあげる。
自分の挙動不審な様子が怪しまれている、これ以上探られるとボロが出そうだと、なまえは慌てて硝子から離れて何でもないと両手を振る。


「そう?どこか具合悪いなら診ようか?」

「全然、大丈夫!車酔いしてたけどもう復活した!」 

「いや、一応硝子に診てもらったらどうだ?」


夏油もどこかいつもと調子の違うなまえが気になったのか、診てもらうことを勧めてくる。
やばい本当に違うのに、心配をかけていると焦るなまえ。
これ以上ここにいても事態は好転しないだろうと、あーじゃあ少し部屋で休んでこようかなーと口にすれば、送ってくよーと天使みたいな硝子がなまえの腕を支えるように持つ。


「じゃあなまえ、ちゃんと休めよー」

「私達が夜蛾先生に任務の報告しておくから」

「お、お願いします」


元気なのに病人になってしまった。
心配してもらえるのは有り難いが、同時に申し訳ない。
部屋に向かって歩きながら、本当に医務室じゃなくていいの?と問いかけてくる硝子に、マジで大丈夫ですとそこは必死に言い募る。

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