第14章 高専
またこのいつまで経っても問題児は、何を言うのだと、目元を押さえる。
「これはちゃんと本人の許可もとったよ。問題なし」
「いや、問題あるだろう!?」
「同級生が卒業後に同棲するなんてよくあることじゃん」
「片方卒業していないだろうがっ」
「別に今後も卒業する予定ないから変わんないって」
何を言っても暖簾に腕押し状態。
本当に問題ないのか?と一瞬悩むが、学生時代の恋人同士とはいえ、11歳差で、片方は未だ高校生。いや、確かに戸籍を弄れば、高校生であることは問題がなくなるのか、と。
様々なことが頭を巡ったが、基本脳筋である彼は、最終的に「恋愛は自由」という訳の分からない結論に至った。
「…本当に本人の許可は得たんだろうな」
「くどいですよ。なまえも何も言ってなかったでしょ?」
飄々と言ってのける五条に、夜蛾は黙る。というより、もう諦めたといった方が正しい。
「他には何かあるか?」と聞けば、「ないでーす」と彼はいつもの調子で。
それじゃあ今度こそなまえを交えて今後の話をしよう(といっても、ほとんど決定事項になっているが)となり。五条がドアに向かって、「なまえー!」と声をかける。
が、返事もなければ、ドアが開く様子もない。
そういえば、ドアの向こうに呪力の気配を感じられず。彼には珍しく、少し慌てた様子でドアを開ければ、そこには、なまえの姿は影も形も見当たら無かったのだった。