第14章 高専
「なるほど…」
五条悟とみょうじなまえの二人から、事情を聞いた夜蛾は、まだ納得できない部分はあるのか、唸るようにして頷いた。
「なぜなまえが11年前の姿のまま、生きていたのかは分からないということだな」
「ですね。でも、こいつはみょうじなまえ本人で間違いないよ。僕が保証する」
「お前が言うなら、間違いなくそうなんだろうな」
六眼を持つ五条だからこそ、その言葉は信用に値する。
どこか居心地悪そうに、夜蛾の前で正座をし、目線をキョロキョロとさせる彼女は、サングラス越しに夜蛾と目が合い、タハっと照れたように笑う。
「夜蛾先生はあんまり変わった感じしないですね!ちょっと安心しました!強いて言うなら、若干白髪が…」
「お前は学生時代に悟達に毒されたままだな」
呆れた声で返され、そうですか?と少しショックを受けなまえは口をグッと結ぶ。
学長室に入る前、せっかくなら夜蛾先生にドッキリを仕掛けようと五条に提案され、渋い顔をしたなまえ。あまり不謹慎なのはちょっと…と言葉を濁せば、五条から『ドッキリ大成功!』と書かれたプレートを手渡され、これを持ってドッキリ大成功と叫んで入ってくるだけでいいと言われた。
そして、五条の合図を受け、言われた通りに突撃すれば、流れる空気はシュールで。
これはもしかしなくても失敗じゃないかと思ったが、五条は満足気に笑っていたので、まぁいいかと彼女はスルーすることにした。
最早そういうところも含めて毒されているということなのだが、五条に比べればかなり常識人である自信があるなまえにとっては、心外なのだ。