第14章 高専
ドアの向こう側に感じる、呪力の気配。恐らく五条が連れてきた、その人物が今回の話の本題なのだろうと、ようやく夜蛾は手を止めて五条へ視線を向けた。それを受けて、五条の口元の笑みが深くなる。
「入っていーよ!」
ドアへと向けて、五条が声をかける。
すると、閉まってた扉が、再び乱暴に開かれた。
「ドッキリだいせいこーうっ!」
緊張から、少し頬を赤くした少女が、『ドッキリ大成功』と書かれた色使いの派手なプレートを持って勢いよく部屋へと飛び込んできた。
その姿を、夜蛾は目に映した。黒髪の少しやつれた、小柄な少女。姿形にも、響いた声にも覚えがあった。忘れようにも忘れられない、かつて自分が担当していた過去最強であり、ある意味最悪だったクラスの生徒の一人だった。そして、自らが促した任務先で、その命を落とした少女。
ポカンと、口が開いた彼の手から、呪骸が床へと落ちる。
「ね?ドッキリ大成功でしょ?」
そんな夜蛾の様子に、五条悟は満足気に笑ったのだった。(この後ヘッドロックをくらった)