第13章 再会
少し顔を伏せた五条に、「え?」となまえは首を傾げる。
彼女は、もちろん学生時代の五条のことしか知らないが、基本的に心から何かを悔いて謝る、なんてことは滅多にしない人間だ。彼は自分の道を自分のルールで進んでいくから、その結果として誰かにどんな被害が及ぼうとも、気にしない。「めんご!」なんて軽い言葉で片付けてしまう。
なまえ自身、彼に心から謝られたと感じたのは、一年生の時に行った花火大会での一件だけだ。それすらも、他の人間からすれば非常に珍しいことなのだが。
それなのに、今、なぜ彼は、顔を伏せて謝るなんて口にしているのだろうか。
むしろ、彼女は嬉しかった。任務の直前、彼に肩を掴まれて詰め寄られた記憶は新しい。彼は間違いなく自分に怒っていて、それは私が言い訳できないほど取り返しのつかないひどいことを引き起こしてしまったからなのに。
それでも、助けに来てくれたんだと。
「…どうして。助けにきてくれたんだから、」
「助けらんなかった」
目を合わせない彼は、どんな顔をしているのだろうか。呟くような言葉の後に、ギシッと奥歯を噛み締める様な音が響いた。
「…ごめん。俺はなまえを助けらんなくて………その時に、お前は死んだ」