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花火 ー呪術廻戦ー

第13章 再会


「はっ…くしょん!」

人の出入りが無くなって久しいそこは、埃っぽいせいか、なまえは盛大にくしゃみをした。
ズズっと鼻をすすって、窓の外から見える街並みを見下ろす。

やはり、と言うべきか。なまえが想像していた通り、ここは、彼女がつい先程まで呪霊と戦っていた廃屋ではなかった。それどころか、東京の様だと見える街並みにため息を吐きたくなる。

高専一年生の二人と別れてから、恐らく廃ビルであろうその建物の中を、彼女はくまなく探索した。だが、この状況のヒントになりそうなものは何一つ得ることができなかった。

一度、高専に戻るしかないか。

そう結論付けて、ため息をつく。
せめて自分が戦っていた呪霊がどうなったかぐらいは、知っておきたかった。だが、万が一にも遭遇すれば、呪力の尽きた状態では、非常に危険であることも理解していた。

「(帰ったら…高専に、悟いるかな…)」

それが少し、気になった。
任務に出る前、彼から言われたことが頭の中を巡って、離れない。自分の弱さが、取り返しのつかない事態へと繋がったのだ。
合わせる顔が、ない。

そんなことを、考えていたからだろうか。



突如、背後から感じ取った呪力の気配に、なまえは警戒して素早く振り返り。

音も無く、部屋の入口に立ったその人物を視界に収めた時。
見慣れた、特徴的な白銀の髪と、背の高さから、それが、五条悟ではないかと思ったのだ。

だが、確信を持てなかったのは、その人物が、顔の上半分を黒い布で覆っていて見えないこと。そして、呪術高専の生徒が着る制服ではなく、教員の服を着ていたことにあった。

黒い布で隠されたその視線の先に、恐らく自分がいるだろうことを感じとって、どうすればいいだろうと彼女は戸惑う。


「……なまえ?」


そんな、沈黙の空気を割いたのは、どこか呆然としたように呟かれたその一言だった。
だが、響いたその声に、なまえはようやく、自分の考えに確信を持ち、安心して息を吐いた。その声は、間違えようもなく、聞き慣れた悟の声で。

合わせる顔がないと考えていたとは言え、目の前に現れた本人に、それを感じとられるのは申し訳がない。気まずさを隠しきれない下手くそな笑顔を浮かべながら、その人物へと歩み寄り。
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