第11章 絶望
言葉を交わす2人を見て、なまえは考えるように眉を寄せた。こういうのは、男同士の方が相談しやすいのかもしれない。なんと言っても、2人は親友同士なのだから。
任務が終わったばかりだからと、部屋に戻る夏油と、五条に頼まれたラットを取りに行った硝子。
2人がいなくなったところで、なまえは五条を見上げた。
「ねぇ、悟。夏油大丈夫かな」
「なにが?」
ペンをくるくると回しながら、彼はなまえを見下ろす。
「なんか、最近ボーッとしてるし。さっき痩せたって悟も言ってたじゃん」
「まぁね。でもあいつも、俺らにそんな弱いとこ何回も指摘されたくないっしょ」
「…まぁ、そうだけど…」
言い淀む彼女を見て、五条はスッとサングラスの奥の目を細めた。
「てゆーか、お前さ、最近いつも傑傑じゃん」
「え、そりゃあ、任務ずっと一緒だし…」
「へーーー」
傑傑であるとこは否定しない訳ね、と。いう彼に、何か地雷を踏んでしまったかと思う。あからさまに不機嫌になられても、任務である以上、彼女にはどうしようもないのだ。
子供みたいな五条に、「もっと夏油を見てあげて」と結局言いそびれてしまった。そもそも、余計なお節介かもしれないし、夏油の親友である五条にも失礼かもしれない。
ただ。
最近の五条は、最強であることに貪欲で。少しだけ、置いてかれていくように感じてしまうのは、私だけなのだろうか。
「(まぁ……今年の夏は忙しいから…)」
色々、考えすぎるのかもしれない。
夏が終われば、マシになるはずだ。
そう思って、ズキリと痛んだ頭に、顔を顰めた。