第10章 変化
いくつかの施設を回ったところで、夏油から連絡が入った。盤星教の本部を見つけて、そこで五条の無事も確認したとのことだった。
一気に体から力が抜けて、その場に座り込むかと思ったが、なんとか踏み止まる。良かったと、言葉にせず呟いた。
なまえも盤星教の本部へ向かおうと思ったが、もう高専へ戻ると聞き、彼女も戻ることに決めた。
数多くある施設を回ることは、想像以上疲労させられた。いや、疲労の原因は他にもあっただろう。
高専へ到着して、2人の帰りを待つ。無事だとは聞いていても、自分の目で確認していない以上、どこか胸をよぎる不安は中々消えてくれなかった。
ふと、一台の車が入ってくるのに気付き。彼女は立ち上がった。
そこから出てくる、2つの人影を認めて、なまえは駆け寄り、そして、足を止めた。
漸く、目にすることができた五条の姿。
首元から切り裂かれた制服は、ズボンもズタズタに裂けている。中に着ているシャツが赤く染まって、少し離れている彼女にまで、血臭が届くほどだった。
言葉もなく、立ち尽くす彼女に気づいた五条が、片眉を上げた。
「なになまえ、お出迎え?」