第10章 変化
本当に素直で可愛い後輩だ。残念なことに普段よく絡むなまえよりも彼は夏油を推している訳だが。実力と人間性を考慮すれば仕方ないだろう。
細い目で2人のやり取りを見守ったなまえは、まぁいいさと気持ちを切り替える。
「それじゃあ、夜蛾先生。2人が任務の間、私は一年生の訓練に参加すればいいんですよね」
「ああ。2人の任務は2日後の夜までだ。その間は一年生にアドバイスしてやってくれ」
「よろしくお願いします!」
「お願いします」
「いえいえ〜私も訓練になるから助かるよ」
2日後の夜までかと考えて、じゃあしばらくは一年生と一緒だなと思う。その間になまえ自身も実力を少しでも伸ばしたい。
今から任務だという2人に向き直って、任務がんばってねと右手の親指を立てる。
笑って親指を立て返す夏油とは対照的に、不機嫌を隠さない五条が、なまえを見下ろした。
「お前マジで任務こねーの?」
「え、いや、そんな流れだよね?」
「ふーーーーーん」
何かを考えるように、どこか含みを持った彼。
探るような瞳がサングラスの向こう側から見ていて、なまえは少したじろぐ。が、視線を逸らしたのは五条からだった。
「…ま、いいや。俺達がいない間、精々一年に面倒みてもらえばー」
揶揄うように言い、ひらひらと手を振って、夏油と任務へ向かう五条。
そんなに私と任務に行きたかったのかと、疑問符が浮かべるなまえ。相変わらずよく分からないと、一年生の2人と共にグラウンドへ向かうのだった。