第7章 麗しの君は 宇髄裏夢
用意された衣装は深紅のワンピース。
悪くはないんだが、派手さが足りない。
実際着てみたら、ブラウスとやらの胸の部分がキツいのに気がついた俺は迷うことなく、釦(ぼたん)を引きちぎった。
「はぁー、すっきり」
遠目から見れば甘露寺と似た様な装いになっているだろうが、着ていて苦しいのだから仕方がないと自身に言い聞かせる。
「宇髄さん……」
やっべぇ。
勝手に釦引きちぎったから、怒られる?
「そっちの方がお似合いですね」
暫く俺の胸元を凝視した後で胡蝶がにこやかに笑う。
「へ?」
「どうせなら、お化粧もしましょうか」
有無を言わせぬ胡蝶の雰囲気に俺は柄にもなく怯んでしまったのだ。