第5章 コラボ企画 鬼滅夢 『泡沫に蓮の華』
だからこそ、今日の自分の行動は彼にとっても貴重だった。
鬼から人を救ったことは幾度もある。
だが、人から人を救うことは少なかった。
どちらにしろ、片方は殺すものと巌勝は考えていたからだ。
殺生について、巌勝はあまり忖度をしない。
いかなる理由だろうと人喰い鬼は殺す対象。
侍の時に敵の武将を討ち取るのと何ら変わりはない。
そう思っていたからだ。
だが、目の前にいる彼女を気まぐれとはいえ助けた際、あの男を殺さなかった自分に驚いていた。
初めて会ったこの娘の涙に絆されてしまったとでもいうのだろうか。
田舎から出てきたという那岐。
まだあか抜けない少女のような顔立ちをしているが、体は成長期といったところか。
男を知らない体は染み一つない白く美しいものだった。
丸みのある尻に張りのある肌。
桃色に色づいた乳房の先。
これだけ揃えば、男の情欲を駆り立てるには十分である。
いらぬことを考えた。
これでは昼間の下卑た男と同じではないか……
俺も湯浴みをしよう。
食事は後まわしにし、巌勝は浴室へ。
寝室には那岐一人が残された。