第5章 コラボ企画 鬼滅夢 『泡沫に蓮の華』
「那岐、湯浴みをしてくるといい」
「え?ですが……」
「汚れた着物は洗濯しておく。怖い思いをしたんだ、ゆっくり体を休めるといい……」
頭を撫でられ、またしても私の鼓動は跳ね上がった。
巌勝様に促されて、私は浴室へ。
男性の独り暮らしにはそぐわないほど小綺麗な浴室に若干緊張しながら、体に湯をかける。
ザパァ。
体のあちこちに擦り傷と、泥がこびりついている。
昼間の出来事を思い出して体が身震いする。
怖かった……
巌勝様のお陰で何もなかった。
あのままだったら……
「那岐」
「はい!」
「着替えを置いておく」
「ありがとうございます!」
湯船に浸かり、体を暖める。
そろそろ上がらないと。
湯船から出ようと足を伸ばした。
つるっ。
そういえば、石鹸を桶の上に戻さなかった。
ドタンッ。