第5章 コラボ企画 鬼滅夢 『泡沫に蓮の華』
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もともと会話が不得手な巌勝は黙々と屋敷に向かう。
彼の屋敷は広いが、町外れにあるので灯りが少ない。
便りになるのは月明かりだけ。
巌勝を見失わないように、娘は半歩後ろの距離で歩みを進めた。
屋敷についてから巌勝がそういえばと口を開いた。
「名を聞いていなかったな?」
ドキリとした。
屋敷の灯りの下で見た巌勝の整った顔を見て、鼓動が跳ねた。
「那岐と申します」
「俺は継国巌勝だ。何をしている。中へ入れ」
そう言われ、足を止めていたことに気づく。
だって、殿方の顔をまともに見た機会なんてほとんど無いし……
私、一晩心臓保つかなぁ?