第13章 子猫と戯れる$(宇髄裏)
「はい。せめて怪我が治るまでは面倒見てあげたいな、と…」
「へぇー」
甲斐甲斐しく子猫の世話をやく那岐を見ていた宇髄がその様子を見て薄く笑う。
いつもの人を食ったような笑みではなく、自然に笑う宇髄にドキリとする。
「……///」
「ちょっと貸してみろ?」
促され、子猫を宇髄の手に預けると、にゃあと一声鳴いて彼の指をペロペロと舐め始める。
「随分と手慣れてますね」
「昔から動物には懐かれるんだよ」
彼の場合、手懐けるのは動物だけとは限らない気がする。
「コイツ名前は?」
「名前…考えてませんでした」
「世話してやる間だけでも名前付けてやろうぜ?」
「そうですね…」
母猫がやるように宇髄が子猫の首根を引いて持ち上げる。
「真っ白だからシロか?」
確かに白猫ですけれど……
「じゃあ白雪はどうですか?」
「雪の季節には早いだろう」
「季節は関係ないんです」
「そうかい」
子猫の頭を撫でながら、二人並んで月を眺める。